問題
からだの中でタンパク質が合成される過程について次の空欄をうめてください。
「DNAの塩基配列(遺伝情報)がRNAに写し取られる過程を『( )』、
RNAの塩基配列をもとにアミノ酸がつなぎ合わされてタンパク質が合成される過程を『( )』という」
解説
私たちは顔や目の色など1人1人さまざま形質が異なっています。
これは1人1人もっている遺伝情報が異なるためです。
また、筋肉や骨、皮膚などからだを構成するあらゆるものはタンパク質(+その他さまざまな成分)でできています。
そして、タンパク質はからだの中で遺伝情報をもとに合成されます。
つまり、ヒトをふくむ生物は「遺伝情報をもとにタンパク質を合成することで、からだを構成する成分や生きるために必要なものをつくっている」のです。
そしてこれらの膨大な遺伝情報を保有しているのが「DNA」です。
DNAは私たちの細胞1つ1つの中心部すなわち「核」に保存されています。
そして、同じく細胞内に存在する「リボソーム」という細胞小器官でタンパク質は合成されます。
問題次のうちタンパク質を合成する場となる細胞小器官はどれでしょうか?①葉緑体 ②リボソーム ③ゴルジ体 ④ミトコンドリア解説私たちのからだはどの組織、器官も「細胞」で構成されています。そして「細胞」の中にはさまざ[…]
例えるなら「DNA」は私たちのからだの設計図で、膨大な量の設計図が細胞の中の「核」という図書館に保管されているようなものです。
そして、その設計図をもとに、図書館の周辺にある「リボソーム」という工場でタンパク質を合成しているのです。
しかし、1つ問題があります。
DNAに含まれる情報量が膨大すぎるので設計図全てを図書館から持ち出すことができないのです。
それではどうすれば良いでしょうか?
そこで「必要な部分だけコピーを取って持ち出す」のです。
そして、そのコピーが「m-RNA(メッセンジャー[伝令]RNA)」とよばれるものです。
DNAの塩基配列(遺伝情報)はm-RNAに写し取られます。
この過程を「転写」といいます。
そして、設計図のコピーである「m-RNA」は、「核」を出てタンパク質工場である「リボソーム」へ移動します。
リボソームでは、「m-RNA」の塩基配列をもとにt-RNA(トランスファー[転移]RNA)という別のRNAが、タンパク質の材料であるアミノ酸を組み立ててタンパク質を合成するのです。
この過程を「翻訳」といいます。
まとめると、DNAの遺伝情報をもとに
DNA→(転写)→m-RNA→(翻訳)→タンパク質
という過程でタンパク質が合成されます。
なお、この一連の遺伝情報の流れは「セントラルドグマ」とよばれています。
地下の大空洞のことではありません。
余談ですが、新型コロナウィルスワクチンで使用されているm-RNAワクチンは、この過程を利用したものです。
m-RNAを注射することで、ウィルスそのものではなくウィルスの表面のトゲトゲ(スパイク)のタンパク質だけを「翻訳」によってからだに合成してもらいそのトゲトゲに対する免疫をつくるというしくみです。
解答
「DNAの塩基配列(遺伝情報)がRNAに写し取られる過程を『( 転写 )』、
RNAの塩基配列をもとにアミノ酸がつなぎ合わされてタンパク質が合成される過程を『( 翻訳 )』という」