自律神経のうち交感神経が抑制するのはどの活動?

問題

次のうち交感神経が抑制するのはどれでしょうか?全て選んでください。

①心臓の拍動 ②呼吸運動 ③消化機能 ④排尿・排便 ⑤発汗

解説

私たちの活動やからだの機能の大部分は脳、特に大脳の支配のもと成り立っています。

その一方で、直接大脳の命令を受けずに行われる活動や機能も存在します。

その役割を担ってる1つが「自律神経」であり、自律神経は大脳の直接の支配を受けずに内臓や皮膚のはたらきを調節しています。

 

「自律神経」には「交感神経」「副交感神経」の2種類があります。

「交感神経」が「アクセル」の役割、「副交感神経」は「ブレーキ」の役割のようなイメージです。

具体的には「緊張状態」のとき交感神経が優位になります。「闘争か逃走か(fight or flight)」とも表現されます。(和訳でも英訳でも韻をふんでおり、個人的に心地の良い表現です。)

動物が闘っているときや天敵から逃げているときをイメージするとわかりやすいです。

反対に、「リラックス状態」のときに優位になるのが副交感神経です。

私たちは1日の中で、運動したり活動したりするときには交感神経が優位になり、寝ているときやお風呂に入っているときなどリラックス状態のときには副交感神経が優位になるといったように、「アクセル」と「ブレーキ」と上手に切りかえて生きているのです。

 

ただし、わかりやすく「アクセル」と「ブレーキ」と表現しましたが、全ての器官で交感神経が「アクセル」の役割、副交感神経が「ブレーキ」の役割をしているわけではありません。

交感神経は多くの器官で「アクセル」の役割をしていますが、特定の器官では「ブレーキ」すなわち「活動を抑制」しているのです。

それでは、具体的にどの器官で「アクセル」の役割、「ブレーキ」の役割をしているのでしょうか?

これは丸暗記する必要はなく、「緊張している人」や「怒っている人」、「運動している人」をイメージするとわかりやすいです。

例えば、緊張しているときや運動しているときは心臓の拍動や呼吸は速くなります。

血圧が高くなったり、汗をかいたり、瞳孔が開いたりもします。

つまり交感神経は心臓の拍動や呼吸運動、発汗などに対しては「アクセルのはたらき」すなわち促進的にはたらくのです。

それでは消化機能はどうでしょうか?

緊張しているときに食欲はわきませんし、食後に激しい運動をすると気持ち悪くなりますね。

闘っているときや天敵から逃げているときにのんきに食事をしている場合ではありませんね。

消化機能に対しては、交感神経は逆に「ブレーキのはたらき」すなわち抑制的にはたらくのです。

同様に排尿や排便といった排泄機能に対しても抑制的にはたらきます。

反対に副交感神経が優位になる「リラックス状態」には逆の現象が起こります。

心臓の拍動や呼吸はゆっくりになり、消化機能や排便や排尿の活動は活発になります。

 

以上の理由から、交感神経が抑制するのは③消化機能 ④排尿・排便となります。

ちなみに、環境や気候の変化や心理的な影響によって交感神経と副交感神経のバランスが不安定になったり、切り替えがうまくいかなくなることがあります。

それにより頭痛やめまい、だるさ、吐き気、腹痛などさまざまを症状を引き起こします。

夏バテや五月病、朝に体調不良が出やすい起立性調節障害(OD)なども自律神経が関与しているといわれています。

解答

③消化機能 ④排尿・排便