問題
「血管のかべが厚く、弁をもたない」特徴をもつ血管は「動脈」と「静脈」のどちらでしょうか?
解説
「血管」は「血液が流れる管」のことであり、全身に分布しています。
「血管」には大きく分けて「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類があります。
血液の中には生命を維持したりさまざまな活動に必要なエネルギーをつくりだすために必要な「酸素」や「グルコース」などが含まれており、常に全身の組織へ供給し続ける必要があります。
そして、そのために心臓が拍動し「ポンプ」の役割を果たすことで、血液を送り出すことができます。
心臓と直接つながり全身に向かう血管を「大動脈」といい、1本の大動脈がどんどん枝分かれして細くなっていきます。
そして全身の組織に血液を届けたら、今度はどんどん合流して太くなります。
最終的に「大静脈」という1本の太い血管になり、心臓にもどってきます。
問題「心臓の役割」心臓の役割について次の空欄をうめてください。「心臓は( )を全身に送り届けるポンプの役割をしている」解説心臓は胸のほぼ真ん中からやや左にある臓器です。「左胸」のイメージが強いと思いますが、図の通り[…]
この「心臓から全身の組織に向かう血液が流れる血管」を「動脈」、「枝分かれして非常に細くなった血管」を「毛細血管」、「全身の組織から戻ってくる血液が流れる血管」を「静脈」といいます。
動脈や静脈は、部位によってそれぞれ「〇〇動脈」「□□静脈」のようにそれぞれ名前がついています。
「毛細血管」は非常に細い血管ですが、太さが同じくらいある「動脈」と「静脈」を比べても構造上異なる点があります。
「動脈」「静脈」そして「毛細血管」それぞれの特徴や役割を説明します。
まず「動脈」は「心臓から全身の組織に向かう血液」が流れる血管です。
右手の人差し指を出してください。
そしてその人差し指で左手の手首の真ん中より少し親指側にふれてみてください。
何かがぴくぴくしているのがわかりますか?
これが動脈です。橈骨(とうこつ)動脈といいます。
このぴくぴくとした動きは「脈拍(みゃくはく)」といいます。
心臓の拍動である「心拍」と連動しており、もちろん「心拍」と「脈拍」の回数は同じです。
全身の組織まで血液を届けるためには強い力が必要であり、心臓の拍動によって十分な圧力をかけているのです。
私は水道管をイメージするのですが、経験上いまいち伝わりにくいようなので割愛します。
ちなみに動脈にかかっている圧力のことを「血圧」といいます。
「動脈」には常に強い圧力がかかるため、それに耐えられるようにかべが厚くなっており弾力があります。
水族館の大きな水槽のガラスが非常に厚くできているのと同じ理由です。
つづいて「静脈」は「全身から心臓へもどってくる血液が流れる血管」です。
手の甲をみてください。
うっすらと青っぽい線が指先方向にはしってますね。(みえないひともいるかもしれません)。
これが静脈です。足の甲やうでの内側など探せばからだのいろいろな部位で確認することができます。
静脈は動脈と比べてからだの浅いところを通っているため、外からみることができます。
逆に動脈はからだの深いところをはしっているので、外からみることはできません。
静脈は、血液の流れがおだやかであり、ふれてもぴくぴくと拍動を感じない「静かな」血管です。
強い圧力がかからないので、動脈と比べるとかべが薄くなっています。
その一方で、血液の流れがおだやかすぎると、血液が逆流してしまうおそれがあります。
そこで静脈には逆流を防止するための「弁」がついており、血液の流れは一方通行に保たれています。
ちなみに流れが速い動脈は逆流の可能性が低いため、「弁」はありません。
さいごに「毛細血管」は、「動脈と静脈の間に存在する血管」です。
その名の通り、「毛」のように「細」い血管です。
動脈が枝分かれして、どんどん細くなっていき、最終的に毛細血管となります。
毛細血管は物質の交換の場であり、酸素と二酸化炭素、栄養分と不要物の交換が行われています。
血液を宅配便の荷物に例えると、毛細血管は「配達先の家のすぐ目の前の道」のようなものですね。
以上から、「血管のかべが厚く、弁をもたない」特徴をもつ血管は「動脈」となります。
☆「血管」は「血液が流れる管」で、「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類が存在する。
◎それぞれの血管の特徴
動脈⇒心臓から全身の組織にむかう血液が流れる血管。かべが厚く、弁をもたない。
静脈⇒全身の組織から心臓にもどってくる血液が流れる血管。かべがうすく、弁をもつ。
毛細血管⇒動脈と静脈の間に存在する非常に細い血管。酸素や二酸化炭素、栄養分や不要物の交換を行う。
解答
「動脈」