「消化」と「吸収」のしくみは?

Q、私たちが食べたものはどのように消化、吸収されますか?

 

私たちが食べたものは胃や腸など消化管を通る間に「消化」され、「吸収」できる状態になるまで細かく分解されます。

今回は「消化」そしてそれに続く「吸収」のしくみの全体像を解説します。

なぜ消化と吸収が必要か?

私たちが食べたものは「消化」されたあと、からだに「吸収」されます。

なぜ「消化」や「吸収」を行う必要があるのでしょうか?

それは「そのままの状態ではからだが利用できない」からです。

 

からだが栄養素を利用するためには血液中やリンパ液中に取りこみ、必要な場所(組織)まで運ばなければなりません。

そこで「吸収」が必要なのです。消化管の中にある状態では利用できないのです。

「ちくわ」を想像してください。

ちくわの内側の空洞は「ちくわの内部」ではあるけど「ちくわの本体」ではありませんね。

消化管も口から肛門まで1本の管であり、ちくわまたはホースのような構造です。

つまり消化管の内側は「からだの内部ではあるがからだの本体でない」と考えると理解しやすくなります。

もちろん「胃や腸の中がからだ本体ではない」というのは違和感と感じると思いますが・・・

以上の理由から「吸収」が必要なのです。

 

そして、からだが栄養素を利用するためには「消化」も不可欠です。

食べたそのままの状態では、大きすぎて「吸収」することができません。

私が食事をするときには、歯でかんで細かくしてから飲みこみますが、まだ不十分です。

飲みこんだあとで、消化管を通り抜ける間にさらに細かく分解されてはじめて吸収できるのです。

この「からだが吸収できる状態まで細かく分解する」ことが消化の意義です。

そして、消化管内ではだ液や胃液などの「消化液」の働きによって栄養素が細かく分解されます。

例えば、ごはんに多くふくまれる糖質であるでんぷんは、

唾液やすい液によってオリゴ糖に分解され、さらに小腸でブドウ糖に分解され、ブドウ糖の状態で小腸から吸収されます。

消化と吸収の流れは?

消化のしくみ自体は非常にシンプルで、

「くだ(消化管)を通りぬける間に消化液と混ざり合い分解される」というしくみです。

ただし、糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質で分解される消化液や場所が異なります。

消化液は「消化管以外の消化器系」すなわち「付属器官」でつくられ、消化管内に放出(分泌)されます。

 

「消化」「吸収」の全体の流れは以下の通りです。

 口(だ液)→食道→胃(胃液)→小腸(すい液、胆汁)→大腸→肛門

①口から入った食べものは咀嚼(そしゃく ※かむこと)されることで細かくなり、まただ液と混ざり合います。

だ液は糖質(炭水化物)の消化に関わります。

②嚥下(えんげ ※のみこむこと)された食べものは食道を通り、胃へ入ります。

胃では胃液と混ざり合います。

胃液はタンパク質の消化に関わります。

③胃の次は小腸に入ります。

小腸ではすい液、胆汁酸と混ざり合います。

小腸、すい液は糖質、タンパク質、脂質全ての消化に関わります。

胆汁酸は脂質の消化にのみ関わります。

すい液と胆汁酸はそれぞれすい臓と肝臓でつくられますが、十二指腸という小腸で合流します。

④ここまでで消化は完了です。

消化によって限界まで細かく分解された栄養素は小腸で吸収され、血液中やリンパ液中へ入ります。

⑤吸収されなかった食べものの残りは大腸へ送られます。

大腸では水分が吸収されます。

⑥さらに残ったものは便として肛門から体外へ排出されます。