問題
次のうち、DNAの複製方法のしくみとして正しいものはどれでしょうか?
①保存的複製 ②半保存的複製 ③分散的複製
解説
DNAは細胞分裂を行う前に「複製」され、DNA量が2倍になります。
問題体細胞分裂において細胞内のDNAが2倍にふえるのはどの時期でしょうか?1つ選んでください。①G1期 ②S期 ③G2期 ④分裂期解説「細胞分裂」とは「1つの細胞が2つに分かれる現象」のことです。「細胞分裂」には[…]
それでは、どのようなしくみでDNAは「複製」されるのでしょうか?
実際に複製のしくみが明らかになる前には3つの説が考えられていました。
それが「保存的複製」「半保存的複製」「分散的複製」の3つです。
「保存的複製」とは「もとのDNAとは別に新しいDNAがつくられる」方式、
「半保存的複製」とは、「2本あるDNAが2つに分かれて、それぞれを鋳型として新しいDNAがつくられる」方式
「分散的複製」とは、「部分ごとにもとのDNAと新しいDNAが入り混じる」方式です。
この中で、「半保存的複製」が正しいことが後に明らかになりました。
それではくわしいしくみを説明します。
DNAは「ヌクレオチド」という最小単位で構成されており、それぞれの「ヌクレオチド」は4種類の塩基のうち1つをもっています。
そして4種類の塩基のうち「A(アデニン)とT(チミン)」、「G(グアニン)とC(シトシン)」は磁石とS極とN極のように常に対になっています。
例えば下のように1本目の鎖が「A」ならば2本目は「T」となり、1本目の鎖が「T」ならば2本目は「A」となります。
一本目 ATGCATGC
二本目 TACGTACG
問題次のうちDNAにあってRNAにないものはどれでしょうか?全て選んでください。①アデニン ②チミン ③グアニン ④シトシン ⑤デオキシリボース解説私たちは顔や目の色など1人1人さまざま性質が異なっていますが、これは1人[…]
DNAの複製のときには、まず2本鎖のDNAがほどけて1本ずつとなります。
そして下のように、「A」に対しては「T」、「Tに対してはA」、「Gに対してはC」のように「相補的」な塩基が結合していくことで新しいDNAがつくられていき、2本鎖のDNAが2組できるのです。
服やバッグについているファスナーをイメージしてください。
通常、2本のファスナーがくっついて口が閉まっており、2本のファスナーが離れることで口が開きます。
もし、ばらばらになったそれぞれのファスナーに別の金具がくっつけば2組のファスナーができますね。
そんなことをする人はまずいないので例えとしては不適当かもしれませんが、2本鎖がほどけるイメージは非常によく似ています。
一本目 ATGCATGC
新しい鎖 TACGTACG
二本目 TACGTACG
新しい鎖 ATGCATGC
新しく複製されたDNAも、さらに2つに分かれて次の「複製」の鋳型となることができます。
以上から、正解は②半保存的複製となります。
解答
②半保存的複製