問題
酵素の特性について、次の( )をうめてください。
「酵素がもつ特徴は、①( )性がある、②最適な( )がある、③最適な( )がある」
解説
からだの中ではさまざまな化学反応が起こっています。
そして、それらの化学反応が起こりやすいようにお手伝いをするのが「酵素」というタンパク質です。
例えば、「AB」という物質を「A」と「B」に分解する反応をお手伝いするようなはたらきです。
このとき、「酵素」が行うのはあくまで「お手伝い」であり、「酵素」自身は変化しません。
「はさみで紙を切ってもはさみ自体は変化しない」ようなイメージです。
このように、「化学反応を促進するが、自身は変化しない物質」のことを「触媒(しょくばい)」といいます。
すなわち、「酵素」とはからだの中ではたらく「生体触媒」といえます。
だ液にふくまれ、でんぷんを分解する「アミラーゼ」に代表される「消化酵素」が最も身近な例の1つです。
酵素にはいくつかの特徴があります。
1つめの特徴は「特定の化学反応しか促進しない」ことです。
例えば「AB」という物質を分解する「ab」という酵素は、「CD」という物質は分解できません。
「酵素ab」は「AB」しか分解できないのです。
「CD」は「酵素cd」という別の酵素によって分解されますが、「酵素cd」は「CD」以外の物質を分解することができません。
この関係性はしばしば「かぎとかぎ穴」に例えられます。
ちなみに、分解される物質である「AB」や「CD」のことを「基質」とよびます。
そして、「特定の酵素が特定の基質にしか作用しない」性質のことを「基質特異性」といいます。
2つめの特徴は「最適な温度でしかはたらかない」すなわち「最適な温度がある」です。
低すぎる温度や高すぎる温度では酵素ははたらいてくれません。
それでは適温とは何℃くらいでしょうか?ヒントは酵素がはたらく場所を考えてみてください。
酵素はからだの中ではたらくため、体温に近い35~40℃で最も反応速度が大きくなります。
また、60~70℃以上の極端な高温になってしまうと、その後適温にもどしても酵素ははたらくことができません。
なぜならば、酵素はタンパク質でできているため、高温になるとタンパク質の構造が壊れてしまい(変性)、はたらきを失ってしまう(失活)のです。
ゆで卵や目玉焼きを冷やしても生卵にはもどりませんね。
3つめの特徴は「最適なpHでしかはたらかない」すなわち「最適なpHがある」です。
pHとは酸性、アルカリ性の程度を表す指標であり、pH7が中性で数値が小さくなるほど酸性が強く、数値が大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
それでは最適pHとはいくつ程度でしょうか?
これは酵素によって異なります。
例えば、ほぼ中性であるだ液にふくまれるアミラーゼは同じくほぼ中性のpH7、強い酸性を示す胃液にふくまれるペプシンはpH2程度、アルカリ性を示すすい液にふくまれるトリプシンはpH8程度で最も反応速度が大きくなります。
また、最適pHから大きくはずれたpHになると、タンパク質の構造が壊れてしまい(変性)、はたらきを失ってしまいます(失活)。
牛乳に酸性のレモン汁を入れると固まってどろどろになる現象と同じ原理です。
以上から、「酵素がもつ特徴は、①(基質特異)性がある、②最適な(温度)がある、③最適な(pH)がある」となります。
「1つの仕事しかせず、快適な環境でしかはたらかず、ヘソをまげると2度と仕事をしない」というがんこな職人のような気質をもっていますが、それぞれの酵素がそれぞれの仕事をすることで私たちのからだは正常に機能しているのです。
解答
「酵素がもつ特徴は、①(基質特異)性がある、②最適な(温度)がある、③最適な(pH)がある」