「科学的に正しい〇〇法」の落とし穴とは?

  • 2021年10月15日
  • 2021年10月16日
  • 思考法
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「科学的に正しい〇〇法」の落とし穴③:結果はあとからくつがえる可能性がある

同じ内容で論文を調べても、全く反対のことをいっている論文がみつかる場合があります。

あるいはあとから条件を変えて再実験を行ったところ、それまで正しいと思われていた内容がくつがえることもあります。

これは、必ずしもどちらかの研究がまちがっているというわけではありません。

正しい手順によって実験が行われたとしても、実験が行われた環境や予想できない要素の影響によって結果は変わることがあります。

 

そして仮にどちらかの研究がまちがっている、あるいはまちがいを含んでいる場合も決して無意味というわけではありません。

まちがっているところは修正して次の実験に活かせばよいのです。

この積み重ねによってその分野の学問は発展していくのです。

 

あるいは複数の論文で同じ結果がでた場合は、「真実」である確率が高くなります。

このように別の論文同士を比較、検討することを「メタ分析」といい、単独の研究結果よりもはるかに信頼度の高い結果を得ることができます。

もちろんその「メタ分析」ですら「完璧」でないことはやはり念頭におく必要がありますが。

「科学的に正しい〇〇法」の落とし穴④:相関関係と因果関係を混同してしまう

2つのことがらについての関係性を表すことばに「因果関係」と「相関関係」というものがあります。

因果関係と相関関係は全く別の意味ですが、それぞれの意味を理解して意識しないと混同してしまう場合が多いので注意が必要です。

因果関係とは2つのことがらが「AだからB」のように原因と結果の関係にあることを意味します。

一方で相関関係とは必ずしも原因と結果の関係にはなく、単に「Aが高いとき、Bも高い」のように2つのことがらに関連があることを意味します。

 

例えば、「バレーボール部員は身長が高い人が多い」というデータがあるとします。

すると、「バレーボール部員である」ことと「背が高い」ことには「相関関係」があります。

しかし、「バレーボール部員である」ことが原因で「背が高くなった」とは限りません。

逆も同様で、「背が高かった」ことが原因で「バレーボール部員になった」とも限りません。

すなわち、「バレーボール部員である」ことと「背が高い」ことには「因果関係」があるとは言えないということになります。

 

同じように、健康法やダイエット法などで「〇〇をすると□□という効果がある!」という記事をよく目にしますが、根拠となった論文を確認すると「因果関係」はまだ不明であるが「相関関係」があるという論文であることがめずらしくありません。

ちなみにもう1つ注意が必要なのは、「相関関係がある」というのは「相関関係はあるが、因果関係はない」という意味ではありません。

相関関係は因果関係を内包するものであり、同時に成立することも可能です。

「はじめに相関関係が証明され、その後因果関係が証明される」という流れは研究においては王道ともいえる順番です。

先ほどのバレーボール部員の例では、例えば「入部前には身長が低かった人も含めて、入部後にはほとんど全ての部員の身長が高くなった」ことがわかれば、「バレーボール部員である」ことと「身長が高い」ことには因果関係があると証明することができます。

 

関連がありそうなことがらでは「AだからB」が成り立つかどうかを常に意識してください。

なお、別記事にて「まちがった情報にだまされにくくなる方法」も紹介していますので、ご参照ください。

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「科学的に正しい〇〇法」の落とし穴⑤:そもそもヒトを対象とした研究は難しい

さいごに前提をひっくりかえすような話になってしまいますが、「そもそもヒトを対象とした研究は難しい」のです。

1つめの理由が「研究に長い時間がかかる」ことです。

例えば、「0歳のときに〇〇をすると20歳のときの学力にどのような影響を与えるか?」というテーマでは、結果がでるまでに最低でも20年の期間がかかります。

それ以外でも基本的に長期間の観察が必要となる場合が多いです。

(厳密にいうと長い期間がかかるのは「前向き研究」とよばれるもので、反対の「後ろ向き研究」はより短い期間で行うことができます。こちらは別記事で解説します)

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2つめの理由が「極端な介入をしにくい」ことです。

例えば、「〇〇という病気にかかっている人を2つのグループに分けて、一方のグループは新しい治療法を試し、もう一方のグループは一切治療をしない」や「小学生を2つのグループに分けて、一方のグループには通常通り算数を教え、もう一方のグループには算数を一切勉強させない」という実験は許されません。

ヒト以外なら許されるという意味では決してありませんが、ヒトに対する「本人が得られるメリットよりもデメリットが多い(ことが予想される)」介入は倫理的に原則認められません。

ヒトを対象とした研究は、1人1人の人生に大きな影響を与える可能性が高く、細心の注意が必要なのです。

 

このような理由から、ヒトに関する研究は分野によってはどうしてもゆっくりになってしまいがちです。

したがって、「科学的な根拠がない」からといって「まちがっている」わけではないことも多いのです。

例えば育児法では、「科学的には効果が証明されていないが、長年多くの子どもたちに対して実践され、かつ多くの人が効果を実感している」方法もたくさん存在します。

育児法以外でも「風習」「知恵」のようなもの方法が効果がある場合も少なくありません。

むしろ「科学的に効果が証明できている方法の方が少ない」といっても言い過ぎではなく、あとから科学的な効果が証明される場合もあります。

もちろん、「伝統」や「風習」が全て正しいわけでもありませんので、「信頼性」を正しく判断することはやはり重要ですが、専門家という立場でなければ「科学的根拠」に固執しすぎると、実は有益である方法を見過ごしてしまうかもしれません。

 

以上、今回「科学的に正しい〇〇法の落とし穴」を紹介しました。

今回はふれていませんが、その方法の効果はもちろんですが、同じくらい「自分に合っているか」「実践できそうか」「続けられそうか」も同じかそれ以上に大切です。

新しい方法を採用するときはそれらの点も含めて総合的に判断することおすすめします。

まとめ

「科学的に正しい〇〇法」の落とし穴

①統計はあくまで傾向を表す

②サンプル数は量だけでなく質も重要

③結果はしばしばくつがえる

④相関関係と因果関係を混同しない

⑤そもそも人間では研究が難しい分野もある