問題
次のうち血糖値を下げるホルモンはどれでしょうか?全て選んでください。
①アドレナリン ②糖質コルチコイド ③グルカゴン ④インスリン ⑤成長ホルモン
解説
「ホルモン」とは、「からだの機能を調節する物質」です。
多くの種類がありからだのさまざまな器官でつくられ血液中などに放出(分泌)されます。
また、「血糖値」とは「血液中に含まれるグルコース(ブドウ糖)の濃度」のことであり、グルコースは全身の組織や器官が活動するためのエネルギー源となります。
「血糖値」を一定の範囲に調節する「ホルモン」がいくつかあります。
本問の選択肢である「アドレナリン」、「糖質コルチコイド」、「グルカゴン」、「インスリン」、「成長ホルモン」は全て血糖調節に関与するホルモンです。
このうち、4つは「血糖値を上げるホルモン」であり、実は「血糖値を下げるホルモン」は1つだけなのです。
それが④の「インスリン」です。
「インスリン」はすい臓のランゲルハンス島という器官のB細胞でつくられるホルモンで、唯一血糖値を下げることができるホルモンです。
血糖値が低下したことを脳(間脳視床下部)が感知すると、すい臓ランゲルハンス島B細胞に命令を出し、インスリンを分泌させることで血糖値を下げます。
反対に血糖値が上昇した場合は、脳(間脳視床下部)が感知して各器官に命令を出すことで、各種ホルモンを分泌させることで血糖値を上げます。
ちなみに、血糖調節がうまくできなくなり、血糖値の高い状態が続いてしまう病気が「糖尿病」です。
「糖尿病」には、「十分なインスリンが分泌できなくなる」Ⅰ型と、「インスリンが効きにくくなる」Ⅱ型の2種類があります。
余談ですが、なぜ血糖値を上げるホルモンはいくつもあるのに、血糖値を上げるホルモンはいくつもあるのに血糖値を下げるホルモンは1つしかないのでしょうか?
私は「血糖が高すぎる『高血糖』よりも、低すぎる『低血糖』の方がより危険であるから」という仮説が最も理にかなっていると考えています。
もちろん高血糖も程度によっては短期間で重症化する場合もありますが、低血糖は基本的に「緊急疾患」です。
ダイエットなどで何かと悪者にされやすい糖質ですが、糖質を分解されて得られるグルコースは全身のあらゆる器官が正常にはたらくためのエネルギー源です。
少し血糖値が下がりすぎるだけで気分や体調が悪くなり、50mg/dL以下のように高度に低下すると意識を失い命の危険もあります。
現代社会では極めてまれですが、野生動物や植物を食べて生活し保存技術も発達していなかった時代では、何日も食料が得られないことも珍しくなかったはずです。
そのようなときの「保険」として、血糖値を上げるしくみをいくつも用意したと考えると実に理にかなっていると私は考えます。
本来「罪悪感」ではなく「感謝」を感じながら甘いものを食べるべきなのかもしれませんが、残念ながら私はその境地には達していません。
解答
④インスリンのみ