「幸せ」のセルフチェック法とは?

Q、自分は幸せなのか、そうでないのかよくわかりません。

  幸福度をチェックする方法はありますか?

 

「幸せになりたい」「幸せな人生を送りたい」

それは誰しもが望むことです。

しかし、「幸せとは何か?」と聞かれて即答できる人は決して多くありません。

そして、答えられたとしても、その答えは人によって大きく異なります。

しかし、これは当然のことです。

なぜならば「この状態になれば必ず幸せである」という絶対的な「基準」が存在しないからです。

「幸せ」とは主観的なものであり、「幸せであるかどうか」は他ならぬ自分自身が決めることなのです。

ある人は「お金をたくさん持っているかどうか」が幸せの基準かもしれませんし、ある人は「家族や仲間と楽しく過ごせること」が幸せの基準かもしれません。

 

また、同じような状況でも「幸せである」と感じる人も「幸せでない」と感じる人もいます。

例えば、コップに半分水が入っている状態を、「半分も入っている」と考える人と「半分しか入っていない」と考える人の両方がいます。

あるいは、水が9割入っていても「あと1割も足りない」「10割よりも劣っている」と考える人がいれば、

水が1割しか入っていなくても「1割もある」「1割あれば十分」と考える人もいます。

 

すなわち、「幸せを感じられるかどうか」は、「現在の状況や自分自身をどのように捉えるか」に大きく依存するということです。

また、自己肯定感(ありのままの自分を受け入れ肯定できる感覚)や自己効力感(困難な状況に直面しても自分で克服したり状況を変えられる感覚)、自己有用感(自分が誰かの役に立てているという感覚)の高さも「幸せを感じられるか」の大きな要素となります。

そして、「現状や自分自身の捉え方やその傾向」は、生まれつきや幼少期に形成された性格や気質の影響が大きいといわれています。

ただし、一度形成された性格や気質を大きく変えることは難しいですが、意識して「考え方」を変えることで「幸せを感じやすくなる」ことは可能です。

 

そのためには、「自分自身や現在の状況を正しく知る」ことが必要です。

もちろん、「幸福度」や「自己肯定感」などはそもそも数値化することが困難です。

しかし、直接的に「幸福度」を測ることができなくても、他の指標を使うことにより間接的に推測することができます。

そこで、今回は幸福度をセルフチェックするための「指標」となりうる方法の1つを紹介します。

マズローの5段階欲求説

幸福度とイコールではありませんが、「マズローの5段階欲求説」を参考にしてみることをおすすめします。

アメリカの心理学者のマズロー氏が提唱した理論であり、「人間の欲求を5段階に分類」したものです。

5つの欲求とは①生理的欲求 ②安全欲求 ③社会的欲求 ④承認欲求 ⑤自己実現です。

前半ほど動物的、本能的な欲求であり、後半ほど人間的で高度な欲求となります。

基本的には「①生理的欲求を満たせたら②安全の欲求」、「②安全欲求を満たせたら③社会的欲求」のように欲求のレベルは階段のように1段ずつ高くなります。

例えば、「水も食料もなく、命の危険がせまっている」ときに、「周囲の人から感謝されたい、尊敬されたい」という欲求は起こりにくいということです。

つまりは「高いレベルの欲求が生まれているということはその前段階の欲求を満たせている可能性が高い」と考えることができ、間接的に「幸福度の高さ」を推測することができるのです。

それでは、5段階の欲求を1つずつみていきます。

5段階欲求 ①生理的欲求

1段階めは「生理的欲求」です。

生きるために必要な最も本能的かつ基本的な欲求であり、ほとんど全ての動物で共通の欲求となります。

例えば、「食べたい」「飲みたい」「睡眠を取りたい」などです。

「食欲」「睡眠欲」「性欲」をまとめて3大欲求ともよびます。

5段階欲求 ②安全欲求

2段階めは「安全の欲求」です。

簡単にいうと「健康で安定した生活を送りたい」という欲求です。

例えば、「危険が少ない場所で過ごしたい」という本能寄りの欲求や「健康で過ごしたい」「経済的に安定して暮らしたい」というより人間的な欲求などが含まれます。

5段階欲求 ③社会的欲求

3段階めは「社会的欲求」です。

「所属と愛情の欲求」ともよばれます。

例えば「愛されたい」「家族と毎日を過ごしたい」「会社やコミュニティに所属したい」「信頼できる仲間がほしい」などが含まれます。

①生理的欲求や②安全欲求と比べて、物質的よりも精神的、内面的の要素が強くなります。

「居場所とつながりの欲求」ともいいかえられるかもしれません。

5段階欲求 ④承認欲求

4段階めは「承認欲求」です。

「承認されたい」すなわち「認められたい」という欲求です。

例えば、「優秀な人間だと思われたい」「周りの人から尊敬されたい」「他人からうらやましいと思われたい」「出世して偉くなりたい」などがこれに含まれます。

また、承認欲求の中にも「低いレベル」と「高いレベル」の2種類があるとマズローは指摘しています。

「低いレベル」の承認欲求が求めるのは、地位や名声などを得ることなど「他者による承認」です。

一方で「高いレベル」の承認欲求が求めるのは、自己肯定や自己信頼など「自分自身による承認」です。

もちろん、「低いレベルの承認欲求」にとどまることなく、「高いレベルの承認欲求」に達することで、より幸せを感じやすくなります。

5段階欲求 ⑤自己実現欲求

5段階めが「自己実現欲求」です。

「『理想の自分』『あるべき自分』になりたい」という欲求です。

例えば「自分はこのような人間になりたい、なるべき」「自分にしかできないことを成し遂げたい」「これが自分の使命で、自分の人生はこのためにある」などが含まれます。

4段階めまでの欲求を突きつめるだけでなく、長い年月をかけて構築してきた「世界観」や「人生観」が完成、統合したさらにその先にたどりつける境地です。

ヒーローものやRPGの主人公も物語のクライマックスに到達していることが多いですね。

もちろん欲求のレベルで最高位に位置します。

5段階欲求 第6の欲求「自己超越」

5段階欲求を超える「第6の欲求」が実は存在します。

「自己実現欲求」より上の欲求など想像がつきませんが、マズロー自身が晩年に発表しています。

それは、「自己超越」とよばれる状態です。

「自己超越」とは「見返りを求めず、目的の達成を純粋に求める」状態です。

「悟り」をも超える、文字通り「自己を超越した」状態といえます。

正直「承認欲求」の前後をうろうろしているレベルの私には、「自己実現欲求」との線引きがいまいちぴんときません。

まとめ

いかがだったでしょうか?

くりかえしになりますが、マズローの5段階欲求説はあくまでセルフチェックのための「指標」の1つであり、「幸せの絶対的基準」ではありません。

あくまで「自分が幸せかどうか」は「幸せを感じられているかどうか」であり、それを決めるのは他でもない自分自身です。

したがって、5段階欲求の高いレベルに達していても「幸せ」と感じられない人もいますし、高いレベルに達していなくでも「幸せ」と感じられる人もいます。

例えば、「誰からも尊敬されなくてもお金がいっぱいあるから幸せ」、「友達や仲間は1人もいないけど、毎日おいしいものを食べられているから幸せ」などであっても、その人が「幸せ」と感じられれば間違いなく「幸せ」なのです。

もし、1人でも参考にしていただけたら私の承認欲求も満たされます。

 

「マズローの欲求5段階説」

①生理的欲求

②安全欲求

③社会的欲求

④承認欲求

⑤自己実現欲求