Q、クラブ活動やアルバイト先の後輩をほめるのが苦手です。下手なほめ方をして逆にやる気をなくしたり、迷惑がられたりしないか心配です。
ほめ方のコツはありますか?
学年が上がったり、同じ職場で長く働いていると、多くの場合後輩や部下がふえてきます。
そして、仕事やルールを教える中で立場上ほめたり、しからなければならない場面が訪れます。
しかし、ほめたりしかったりすることに苦手を感じるひとも少なくないと思います。
そこで今回は、苦手なひとでも実践できるおすすめの「ほめ方」を紹介します。
そもそもほめなければならないのか?
結論からいうと必ずしもほめる必要はありません。
ほめなくても必要なことを伝えることは十分可能です。
しかし、適切なことばやタイミングでほめることにより、相手の能力を伸ばすだけでなく信頼関係も築きやすくなります。
クラブ活動にしてもアルバイトにしても、1人1人にもとめられる役割やその組織ごとのルールが必ずあります。
そしてあとから組織に入った人は、失敗をくりかえしながら役割を果たせるようになったり、ルールを身につけていきます。
これは経験者であっても同じです。
例えば、サッカーがとても上手な新入生がサッカー部に入ってもそのクラブでの練習方法やルールを覚える必要があります。
コンビニAでのアルバイト経験がある人でも、コンビニBで新しく働く場合や店舗が変わればルールは異なります。
もちろんこれまでの経験や知識がそのまま活かせる場面も少なくありませんが、それでもははじめから完璧に立ちふるまうことはほとんどの人にとって不可能です。
そして新しいことを始めるときは「成功体験」よりも「失敗体験」の方が圧倒的に多いため、ストレスがたまり心が折れそうになることもしばしばあります。
そのような状況でちょっとした成功体験でも「ほめられる」と、自分の行動が正しかったことを確認できるだけでなく、相手に関心をもたれている、相手に認められた、喜びを共感できたなどの実感を得ることができ、自信やさらなるやる気、そして信頼関係の構築もつながります。
すなわち「ほめる」という行為は自分にとってもほめる相手にとっても組織にとってもプラスになるのです。
ただし、何でもほめればいいというわけではありません。
例えば失敗しておちこんでいるときにしつこくほめても逆効果で嫌がられてしまうかもしれません。
つまり、ほめるときのことばやタイミングが重要であるということです。
「ほめる」ことに苦手意識をもっている人の中には、この「ほめ方」を難しく感じている人も多いと思います。
そこで次の章から、苦手な人でも実践できるほめ方や効果の高いほめ方を紹介します。
おすすめのほめ方①:感謝を伝える
1つめの方法は「感謝を伝える」ことです。
これは、「ほめる」という行為に抵抗がある人でも実践しやすいため、まず試してほしい方法です。
方法は簡単で「自分がうれしいと感じたら『ありがとう』と伝える」のです。
自分のために何かしてくれたときやルール通りに行動できたときはもちろん、これまで失敗していたことができるようになったときなどにも「ありがとう」と伝えます。
一見話がかみあっていないようにもみえますが、自分の成功体験をいっしょに喜んでくれ、さらに感謝されて嫌な気持ちになる人はまれです。
ただし、重要なのはあくまで「本当にうれしかったときに伝える」ことです。
明らかなつくり笑顔で棒読みで「ありがとう」といわれてもうれしくないどころか皮肉にも感じてしまいます。
反対に、本当にうれしく感じて『ありがとう』を伝えれば、多少文脈がおかしくても気持ちは伝わります。
おすすめのほめ方②:結果ではなく過程や意図をほめる
つづいて効果的なほめ方を紹介します。
ほめるときは「結果や才能」ではなく「過程や意図をほめる」ことをおすすめします。
例えば、苦手だったシュートがうまくいったときは「やったね!運動神経がいいんだね!」より「やったね!何度も練習してたもんね!」のようにほめます。
この方法はうまくいかなかったときにも応用可能で、「失敗しちゃったね」より「右の方に入れようとしたんだよね」のように伝えます。
いずれも後者のほうが努力や工夫を認めてもらうことで、やる気が高まりさらなる努力や工夫につながる効果があります。
おすすめのほめ方③:具体的にほめる
つぎにおすすめしたいほめ方が「具体的にほめる」ことです。
たとえば、アルバイト先で後輩がクリスマスのかざりつけの案をつくってもってきたときに、
単に「かっこいいね!」「おしゃれでいいじゃん!」のように抽象的にほめるよりも
「楽しそうなイラストでいいね!トナカイと雪だるまの表情が特に好き!」のように具体的にほめることをおすすめします。
具体的にほめることによりと、「色は赤と白以外も使った方がより目立っていいかも!」のように改善点も指摘しやすくなります。
おすすめのほめ方④:オンリーワンである部分を伝える
さいごに紹介するおすすめのほめ方は「オンリーワンである部分を伝える」ことです。
人は「誰でもできる役割」を「誰かからさせられている」と感じるとやる気が出ず仕事のパフォーマンスは下がります。
反対に「自分にしかできない、替えがきかない役割」を「自分の意思でしている」と感じるとやる気にあふれ最大限の結果を出すことができます。
メンバー1人1人がお互いに協力しながら、自分だけの「オンリーワン」の能力を発揮することが組織全体が成長する最大のポイントです。
そこでほめるときは、その人にしかできない役割をみつけて伝えてあげることをおすすめします。
例えば、「みんなが見落としてしまうチームの弱点をいつも〇〇さんはみつけてくれる。みんな助かっているからまた教えてね」のようなぐあいです。
実際にその人だけにしかできないことをみつけるためには、相手に関心をもちしっかりとみる必要があるため、そのこと自体が信頼関係にもつながります。
以上今回は「効果的なほめ方」を紹介しました。
実は今回の方法は子育てで子どもの能力を伸ばすときにも有効です。
「できない」ことが「できる」ようになるという過程は、子どもの成長でもクラブ活動や新しい職場でも共通なので当たり前といえば当たり前ですが。
興味をもってくれた人はぜひ「教育法」についての記事も読んでみてください。
まとめ
効果的なほめ方
①感謝を伝える
②結果ではなく過程や意図をほめる
③具体的にほめる
④オンリーワンである部分を伝える