なぜ数学を勉強するの?
小学校の算数はそこまできらいじゃなかったけれど、中学生の数学になってからきらいになったという人も多いと思います。
「連立方程式や微分積分なんて将来絶対使わない!」のように勉強する意義を見出しにくいというのもきらわれる要因かもしれません。
それでは一体何のために数学を勉強するのでしょうか?
文部科学省の指導要領では、「数学的活動を通して,数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則についての理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察し表現する能力を高めるとともに,数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し,それらを活用して考えたり判断したりしようとする態度を育てる」とされています。
私は「論理的思考を身につける」ための教科と言いかえています。
論理的思考とは「AだからBだよね」「そしてBだったらCだよね」「それならAだったらCだよね」と理論の筋道を立てて考えることです。
例えば「石炭や石油の使いすぎは地球温暖化の原因となる」という知識があります。
ほとんどのひとが知っていると思われる知識ですが、よくよく考えるとなぜ石炭や石油の使用と気温の上昇とはどのようにつながるのでしょうか?
そこで、
「石炭や石油を燃やすと二酸化炭素が発生します」
「二酸化炭素は熱を逃がしにくくするはたらきがあります」
「二酸化炭素が多く発生すると地球から宇宙へ熱が逃げにくくなります」
「だから石炭や石油を使いすぎると地球が温暖化します」
と説明されれば、納得できますね。
なぜ論理的思考を身につける必要がある?
それではなぜ論理的思考を身につける必要があるのでしょうか?
それは生きる上で最も重要な能力の1つである「正しい判断をする」ために必要だからです。
例えば、夜11時に友達から遊びに誘われたとします。できれば遊びに行きたいです。
しかし、「中学生が夜8時以降に外出することは条例で禁止されている」「遊びにいったら警察に補導されるかもしれない」「補導されたら内申にひびくし、昼間に遊びに行くことも禁止されるかもしれない」「断ったほうがよさそうだ」という判断ができます。
また、就職で「A社とB社のどちらに入った方がいいか?」悩んでいるときに、「A社は給料も高いし仕事も楽しそうだけど、ここ数年は赤字経営で今後が不安」「B社は給料は高くないし仕事も地味そうだけど、ここ10年以上黒字経営で今後も成長しそう」「やりがいや給料をとるならA社で、安定性をとるならB社」「でもやっぱり仕事はやりがいを大切にしたいからA社にしよう」と判断できます。
2つ目の例では、A社を選ぶひともB社を選ぶひともいますし、どちらが正解かは正直わかりません。
また、最後は「やりがいのある仕事をしたい」という「感情」で決めています。
ヒトは「頭で考え、心で行動する」ので、現実的には「論理的思考」だけで判断して行動することは難しいです。
しかし、「思ったままに」決めるよりも、「論理的に考えた上で、最終的に気持ちで」決めた方が、正しい判断をしやすくなるだけではなく、仮にうまくいかなかったときも自分で納得しやすくなります。
話を戻すと、なぜ数学を勉強すると論理的思考を身につけることができるのでしょうか?
なぜならば、数学の問題そのものが論理的思考だからです。
例えば、
x+1=3
という方程式は
x+1=3
x=3-1
x=2
と解くことができます。
これは
「x+1は3と同じだよね」
「ということは両方から1をひいても左右のバランスはくずれないからx+1-1は3-1とおなじだよね」
「x+1-1はxで、3-1は2だからxは2だよね」
という説明を式にしているだけなのです。
同じようにみんな大きらいな証明問題も
「△AOBと△COBについて」
「AOとCOの長さは同じだよね」
「BOとDOの長さは同じだよね」
「∠AOBと∠CODの大きさは同じだよね」
「対応する2組の辺とその間の角の大きさが等しいから、△AOBと△COBは形も大きさも同じである合同といえるよね」
と説明しているのです。
まとめ
数学を勉強すると論理的思考力が身につく!