問題
次のうち植物細胞にあって、動物細胞にないものはどれでしょうか?全て選んでください。
①葉緑体 ②ミトコンドリア ③細胞膜 ④細胞壁 ⑤液胞
解説
動物も植物も「細胞」によって構成されていますが、動物と植物では細胞のつくりも異なります。
動物がもつ細胞を「動物細胞」、植物がもつ細胞を「植物細胞」といいます。
そのまんまですね。
ところで動物と植物のちがいや境界線を説明できますか?
「見ればわかる」と思うかもしれませんが、いざ説明しようとすると難しいですね。
実際、「動物」と「植物」の定義は学問により若干異なりますし、意見が割れることもありますが、生物学においては「細胞のつくり」で区別することがでます。
「植物」は「細胞に細胞壁があり、光合成を行う生物」すなわち「細胞壁と、光合成の場となる葉緑体がある『植物細胞』をもつ生物」です。
反対に「動物」は「細胞に細胞壁がなく、光合成を行わない生物」すなわち「細胞壁と葉緑体がない『動物細胞』をもつ生物」となります。
「植物が植物細胞をもつ」のではなく「植物細胞をもつから植物」というのは、生物学なのに哲学的でもありおもしろいですね。
さて、植物細胞と動物細胞のちがいは下のようになります。
まず、①葉緑体は、光合成の場となる細胞小器官です。
定義通り植物細胞にはあり、動物細胞にはありません。
②ミトコンドリアは、呼吸の場となる細胞小器官です。
動物も植物もグルコース(ブドウ糖)などを呼吸により分解することによりエネルギーを得ています。
したがって、ミトコンドリアは動物細胞と植物細胞の両方に存在します。
ちなみに、グルコース(ブドウ糖)は光合成によって合成されます。
すなわち、呼吸に必要なグルコース(ブドウ糖)を、植物は自分でつくることができる一方で、動物は自分でつくることができないため植物や他の動物を食べることで得ています。
だから動物は「動く」必要があるのですね。
③細胞膜は細胞の中と細胞の外を隔てる膜であり、植物細胞と動物細胞の両方がもっています。
細胞膜は「半透性」という性質があります。
「半透性」とはかんたんにいうと、「水は通すが、水以外の成分は通さない」という性質です。
「半透性」があることにより、細胞内外で濃度が異なる場合は、水が移動し細胞の大きさが変化することで濃度の差をなくそうとします。
例えば、細胞外の濃度が高い場合は、細胞内から細胞外へ水が出ていき細胞が小さくなり、細胞内の濃度が高くなります。
反対に、細胞内の濃度が低い場合は、細胞外から細胞内へ水が入り細胞が大きくあり、細胞内の濃度が低くなります。
余談ですが、ナメクジのからだも似たような性質をもつため、ナメクジに塩をかけると小さくなるのは同じ原理です。
④細胞壁
細胞壁は細胞膜の外側にある構造であり、細胞を守ったり形を保ったりする、その名の通り「壁」の役割をもちます。
細胞壁は、植物細胞にのみ存在し、動物細胞にはありません、
植物細胞と動物細胞の大きな違いの1つです。
⑤液胞は植物細胞のみに存在し、内部には「細胞液」という液体をたくわえています。
細胞液には水の他、糖類や無機塩類、タンパク質、アミノ酸や酵素を含んでいます。
以上から、植物細胞にあって動物細胞にないものは①葉緑体 ④細胞壁 ⑤液胞となります。
解答
①葉緑体 ④細胞壁 ⑤液胞