前向き研究、後ろ向き研究とは?

Q、前向き研究と後ろ向き研究って何ですか?

  どのようなちがいがありますか?

 

「前向き研究」「後ろ向き研究」とは?

時間軸で考えると、研究は「前向き研究」「後ろ向き研究」「横断的研究」の3つに分けることができます。

「ポジティブな研究」「ネガティブな研究」という意味ではありません。

「前向き研究」はその名の通り「前を向いた研究」、すなわち「未来に向けた研究」のことです。

いいかえると結果が出るまで観察し続ける研究です。

例えば、「5歳の子どもを数学の幼児教育を受けるグループと受けないグループに分けて、10年後の数学の成績に差が生じるかを調べる」ような研究です。

 

一方の「後ろ向き研究」は「後ろを向いた研究」すなわち「過去にさかのぼる研究」のことです。

いいかえると、あることがらについて過去の背景をさかのぼって調べる研究です。

例えば、「15歳の子どもを数学の成績が良いグループとそれ以外のグループに分けて、10年前に数学の幼児教育を受けていたかを調べる」ような研究です。

 

「前向き研究」と「後ろ向き研究」にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

まず、「前向き研究」は、「『後ろ向き研究』よりも信頼性が高い」という大きなメリットがあります。

その一方で「結果が出るまでに長い期間や追跡のコストがかかる」というデメリットがあります。

調査が長期にわたると、研究の軌道修正がしにくい、調査から脱落する参加者が増える、得られた結果をもとに新しい仮説を思いついてもさらにそこから期間がかかる、参加した本人が研究の恩恵を受けられないなど問題点も生じます。

「後ろ向き研究」のメリット、デメリットは「前向き研究」の裏返しで、

すでに起こったことがらについて過去をふりかえって調べるため「研究に長い期間を要さない」というメリットがある一方で、

対象の選ぶときのかたよりなどの「バイアス」がかかりやすく「研究の信頼性が下がる」というデメリットがあります。

 

「前向き研究」と「後ろ向き研究」の他にも「横断的研究」という方法も存在します。

「横断的研究」は「現在の研究」すなわち時間をまたがずに比較する研究です。例えば「15歳の子どもを数学の成績が良いグループと良くないグループに分け、現在数学の塾に通っているかどうかを調べる」ような研究です。

論文や実験の引用をみたときには、どのタイプの研究かも確認してみてください。

まとめ

「前向き研究」⇒未来に起こることを追跡して調査する研究

  メリット:結果の信頼性が高い

  デメリット:長い期間を要し、追跡のコストがかかる

「後ろ向き研究」⇒過去に起こったことをさかのぼって調査する研究

  メリット:長い期間を要さず、追跡のコストがかからない

  デメリット:バイアスがかかり、結果の信頼性が低くなる