転写と翻訳のくわしいしくみは?

⑥リボソームがm-RNAに結合する

ここからがタンパク質の設計図のコピーである「m-RNA」の塩基配列をもとにタンパク質を合成する「翻訳」の過程に入ります。

タンパク質合成の場は「リボソーム」という細胞小器官です。

リボソームは「タンパク質合成の工場」に例えることができますが、m-RNAがリボソームまで移動するわけではありません。

実際は逆で、m-RNAが細胞質へ出ると、リボソームが結合してきて「翻訳」が始まります。

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⑦t-RNAのアンチコドンが、対応するm-RNAのコドンに結合する

m-RNAの塩基配列は3つでセットになっており「コドン」とよばれます。

翻訳に関与するt-RNA(トランスファーRNA、転移RNA)も3個セットの塩基をもっており、こちらは「アンチコドン」とよばれます。

m-RNAの「コドン」に対して、相補的な「アンチコドン」が結合します。

t-RNAはそれぞれアミノ酸を1つずつもっているため、t-RNAが次々に結合するとアミノ酸が並んでいきます。

「アンチコドン」の塩基配列は20種類あるアミノ酸のいずれかを指定する「暗号」となっているのです。

 

⑧アミノ酸同士がペプチド結合する

となり合うアミノ酸同士が結合することによりアミノ酸がどんどんつながっていきタンパク質が合成されます。

アミノ酸同士の結合様式のことを「ペプチド結合」といいます。

ちなみにつながったアミノ酸が2~約20個のものを「オリゴペプチド」、約20~50個のものを「ポリペプチド」、約50個以上のものを「タンパク質」とよぶことが多いです。

 

⑨リボソームが移動していき、終止コドンに到達したら翻訳が終了する

一度翻訳が開始されたら、リボソームはモノレールのようにm-RNAの上を移動して次々と翻訳していきます。

しかし、m-RNAのはしっこからはしっこまで翻訳を行うわけではありません。

それでは、「どこからどこまで翻訳するか」はどのように決まるのでしょうか?

実は「塩基3個セット」の暗号には、「アミノ酸の種類」だけでなく「翻訳を開始する」「翻訳を終了する」という暗号も含まれているのです。

それぞれ「開始コドン」「終止コドン」といいます。

「終止コドン」の場所まで到達したら、そこで翻訳は終了となります。

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⑩タンパク質の立体構造がつくられる

合成されたばかりのタンパク質は、アミノ酸がつながった長いひものような形をしています。これを「一次構造」といいます。

ひも状の「一次構造」は「水素結合」という原子同士のゆるやかな結合などの力によって、らせん構造やシート状構造を形成します。これを「二次構造」といいます。

「二次構造」は、より力が強い「S-S結合(ジスルフィド結合)」や「イオン結合」の力によって折りたたまれ、より複雑な「三次構造」という立体構造となります。

さらに、いくつかの「三次構造」が組み合わさって1つの大きな構造をつくっているものを「四次構造」といいます。

このように、合成されたタンパク質は最終的に複雑な構造に変えられて完成となります。

 

以上から解答は順番に

E DNAの2本鎖がほどける

C DNAの塩基配列と相補的な塩基をもつヌクレオチドが結合する

G ヌクレオチド同士が結合する

B スプライジングが起こりm-RNAがつくられる

J m-RNAが核内から細胞質へ移動する

D リボソームがm-RNAに結合する

H t-RNAのアンチコドンが、対応するm-RNAのコドンに結合する

A アミノ酸同士がペプチド結合する

F リボソームが移動していき、終止コドンに到達したら翻訳が終了する

I タンパク質の立体構造がつくられる

となります。

目次

解答

E→C→G→B→J→D→H→A→F→I