アフリカで多くみられる赤血球の異常はどれ?

問題

次のうちアフリカで多くみられる赤血球の異常はどれでしょうか?

①鎌状赤血球症 ②球状赤血球症 ③G6PD欠損症 ④PK欠損症

解説

赤血球は血液中の成分の1つであり、酸素を全身の組織へ運ぶ役割をもちます。

もし赤血球の数が減ってしまったり、酸素と結合できるヘモグロビンという成分の濃度が低くなってしまうと「貧血」という状態になります。

「貧血」の状態になると、全身の組織に十分な酸素を届けられなくなり、めまいやたちくらみ、倦怠感などさまざまな症状がみられます。

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「貧血」には鉄分の不足などさまざまな原因がありますが、「生まれつき赤血球が壊れやすい」ことが原因になっている場合があります。

選択肢の4つはいずれも「生まれつき赤血球が壊れやすい」病気です。

通常「病気」とは軽いものを除いて生存や子孫を残す上で不利になる場合が多いのですが、アフリカではある赤血球異常をもつ人の割合が高く維持されているのです。

それが「鎌状赤血球症」という病気です。

通常赤血球は円盤状なのですが、鎌状赤血球症では酸素濃度が低下すると赤血球が「鎌(かま)」のような形に変化するのです。

鎌状となった赤血球は酸素を運ぶ能力が低くなり、重度の貧血となってしまいます。

さて、なぜこの病気を持っている人がアフリカでは多いのでしょうか?

実は鎌状赤血球症の遺伝子を持つ人はアフリカでは生存に有利な場合があるのです。

アフリカは「マラリア」という感染症が世界の中でも多い地域です。

マラリアは血液に感染する感染症です。

通常、マラリアの原虫(幼虫)は赤血球に侵入し、内部の酸素やヘモグロビンを利用して増殖します。

しかし、鎌状赤血球症の場合は少し酸素不足になっただけで溶血を起こすためマラリアが増殖できません。

したがって、鎌状赤血球症の人はマラリアを発症しにくいのです。

その結果、マラリアが蔓延する国では相対的に生存に有利にはたらき、鎌状赤血球症を引き起こす遺伝子が次の世代へ多く残るのです。

 

「特定の病気の遺伝子を持っていることによって別の病気にリスクが下がる」という比較的まれな例の1つです。

解答

①鎌状赤血球症