理科はつながっている
理科は4つの分野に分けることができます。
生物、化学、地学、物理の4つです。
高校ではそれぞれが異なる教科として独立していますが、中学校では物理と化学は「1分野」、生物と地学は「2分野」と大きく分けられます。
好き嫌いでいうと生物や地学が好まれやすく、化学と物理がやや嫌われやすいです。
実際、計算問題が少ない生物や地学の方が勉強を始めるハードルはやや低いです。
しかし、4つの分野にはそれぞれ異なるおもしろさがあります。
また、4つの分野は全く別のことを勉強しているわけではありません。
実は理科の4分野はさまざまな現象を異なる角度からみているだけにすぎないのです
例えば、「花が咲いている」という現象について考えてみましょう。
「植物の構造」や「何のために花が咲くのか?」などこの現象は主に生物で勉強します。
しかし、「気温」「気圧」「天気」「気候」などの知識は地学で勉強します。
また、「呼吸や光合成の化学反応」は化学で勉強します。
さらに、「なぜこの構造で花や葉の重さを支えられるか?」を考えるためには物理の知識が必要となります。
勉強を続けているうちにはじめはばらばらだった知識同士がつながったときが、勉強のおもしろさを感じるときの1つです。
もちろんこれは理科に限った話ではありません。
理科や社会、理科や数学など教科を超えて知識がつながる場合もたくさんあります。
何のために生物を勉強するの?
生物(学)は、生命や生物について学ぶ分野です。
私は「生きるとは何か?」そのものを学ぶ教科だと言いかえています。
実は「生物とは何か?」という基本的な質問に答えることは容易ではないのです。
「生物」と「生物ではないもの」の違いは何でしょうか?
「生物といえるための3条件」が有名です。
3つの条件とは「体の中と外が膜で仕切られていること」「代謝を行うこと」「自らのDNAを残せること」です。
わかりやすくいうと「細胞をもっていること」「生きるためのエネルギーを自分でつくれること」「子孫を残せること」の3つです。
一見難しくないように思えます。
僕たちヒトにも他の動物にも植物にも当然あてはまります。
大腸菌などの細菌類にもあてはまるので、「細菌も生物である」といえます。
それではウィルスはどうでしょうか?
ウィルスは細菌と比べてもはるかに小さい存在です。
冬に流行するインフルエンザウィルスが最も有名ですが、感染するとかぜなどの病気を引き起こします。
何となく細菌もウィルスも同じようなイメージがありますね。
しかし、実はこのウィルスは細胞をもっていません。
自分でエネルギーを作り出すこともできません。
ヒトや動物の体内でしか生きることができないのです。
しかし、感染したヒトや動物のからだの中で自分の遺伝子をコピーして増殖することができます。
では3つの条件のうち1つしか満たしていないウィルスは「生物ではない」のでしょうか?
ということは「生きていない」のでしょうか?
すると「生きていない」物質が体の中で増えて病気をひき起こすということでしょうか?
このように生物を勉強すると、普段当たり前すぎて意識さえしない「生きる」について深く学ぶことができます。
ここ数年間、世界中新型コロナウィルスにふりまわされていますが、おそらく今後も人間を含む動物とウィルスは今後も戦ったり共存したりと付き合っていく必要があります。
ちなみにサイズ的には、人間に対するウィルスの大きさと、地球に対する人間の大きさは近いと言われています。
地球と会話ができるのであれば、地球にとって人間がどのような存在であるのが気になるところです。
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