心臓が拍動する合図はどこからでる?

問題「心臓が拍動する合図を出しているのはだれ?」

心臓が拍動するとき、たくさんある心筋細胞が同調して収縮できるように心臓の「ある部位」から合図が出されます。

「ある部位」とはどこでしょうか?

解説

心臓は、拍動することにより血液を全身に届ける「ポンプ」の役割を担っています。

また、心臓は心筋細胞がたくさん集まって構成されています。

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心臓イラスト

そして、心臓が拍動するためには、それぞれの心筋細胞が同時に収縮する必要があります。

それぞれの心筋細胞が息を合わせていっせいに収縮することで、心臓全体も小さくなり拍動することができるのです。

何人かで協力して重たい荷物を持ち上げるとき、「1、2、3」や「いっせーのせ」の合図で同時に力を入れないと荷物は持ち上がりませんね。

あるいは、大縄跳びでみんないっせいにジャンプするようなイメージです。

 

それではたくさんある心筋細胞が息を合わせて収縮する「いっせーのせ」の合図はだれが出しているのでしょうか?

実は、心臓の上の方に「洞結節」という「収縮の合図を出す」部位が存在しているのです。

そして、心臓の内部には「電線」や「電気コード」のような「電気配線」が通っており、ここを通ってその合図が心臓に伝わります。

このしくみを「刺激伝導系」といいます。

刺激伝導系
洞結節と刺激伝導系

つまり、「洞結節」で収縮の合図となる「電気信号」が発生し、それが「刺激伝導系」を通って心臓全体に伝わり、それぞれの心筋細胞が収縮して拍動が起こるのです。

例えば、1分間に「洞結節」が60回信号を出せば、60回拍動が起こり、心拍数は60回となります。

 

ところで、先ほど「心筋細胞が同時に収縮する」と説明しましたが、正確には完全な「同時」ではありません。

心臓の上方にある「洞結節」から心臓の下方あるいは先端へ順番に電気信号が伝わっていくため、心臓の部位によって収縮に時間差が生じるのです。

スポーツやライブの観客席のウェーブのようなイメージです。

 

しかし、意外なことにこの「時間差」のおかげで、より効果的な心臓の拍動が可能となるのです。

心臓の部屋は上側に位置する「心房」と下側に位置する「心室」に分けられます。

心臓の部屋と血管
心臓の部屋と心臓につながる血管

心臓へ血液が戻ってくる部屋が「心房」で、心臓から血液を送り出す部屋が「心室」です。

ここで心室より先に心房が収縮することにより、「心房から心室へ血液をしぼりだす」ことができるのです。

つまり、「心房」→「心室」の順に時間差で収縮することにより、

「心房に血液がもどってくる」→「心房が収縮して、心室に血液を送り出す」→「心室が収縮して、心臓の外に血液が送り出さる」

といったように、「牛の乳しぼり」の要領で効率良く「ポンプ」の役割を果たせるのです。

 

ちなみに、もしそれぞれの心筋細胞が同時ではなくばらばらに収縮したらどうなるでしょうか?

そのような状態を「心室細動」といい、いわゆる「心臓まひ」の状態です。

心臓がブルブル震えるだけでポンプの役割が果たせなくなる緊急疾患です。

あるいは、洞結節から合図が出にくくなる状態を「洞不全症候群」といい、こちらも程度によっては治療が必要となります。

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刺激伝導系イラスト

解答

洞結節