スマホはすでに子どもたちのすぐそばに
現代社会においてスマホ(スマートフォン)はすでに生活必需品となっています。
通話やメールといった通信手段にとどまらず、SNSでつながったり、インターネット検索で必要な情報を得たり、動画視聴やゲームを楽しんだりと子どもたちの生活にも深く入りこんでいます。
その一方で、スマホが子どもたちに与える影響についてもさまざまな指摘や議論がされています。
実際、スマホの使用が過度になり依存に陥ってしまうケースや、スマホがきっかけで子どもが事件やトラブルに巻きこまるケースも少なくありません。
インターネットが広く普及してから約30年、スマホが広く普及してから約15年程度です。(どの段階を普及と呼ぶか、どの機種からをスマホと呼ぶかについてに多少意見の相違はあるとは思いますが)
その便利さや身近さゆえに私たちの生活へと急速に浸透し、さらに現在進行形で進化を続けています。
新しい技術やツールが登場したときに恩恵とともに新たな問題を社会にもたらすことは歴史をふりかえっても珍しいことではありませんが、インターネット及びスマホの浸透速度とその影響力の大きさは未だかつて人類が経験したことがないものといっても過言はないと思います。
正直、私たち大人を含めて「スマホと上手に付き合う」準備や対策が十分できていないまま社会全体に広がり、毎日使い続けているように感じています。
そして、今後もスマホは進化続け(もしかしたら現在の姿、形が異なる「スマホ」とは別の名称としてかもしれませんが)、より一層私たちにとって身近なツールとなっていくことが予想されます。
それは私たち大人だけでなく、子どもたちにとっても同様です。
すでに中高生から乳幼児まで、スマホは日常生活とは切り離すことができなくなっています。
法律などによって厳しい規制がかかったりしない限り、スマホと子どもたちとの距離も近くなり続けると思われます。
スマホがもたらすリスクとベネフィット
2022年現在、正式には「スマホ依存」は病気としては認められていませんが、スマホの使用が過度になるとアルコールや薬物、ギャンブルなどと同様に「依存」という状態に陥ってしまう可能性があります。
「便利だから使う」「楽しいから使う」をくりかえすうちに「スマホが気になって仕方ない」「スマホを手放せない」「スマホなしの生活はもはや考えられない」状態になります。
その結果、日常生活に支障がでたり、他のことへの興味が失われてしまったりします。
完全に依存に陥っていなくても、その予備軍、前段階の状態になっている人は大人、子どもを問わず少なくありません。
心のどこかでは「スマホを使いすぎてるのではないか?」「何か良くない影響があるのではないか?」「このまま子どもにスマホを使わせても良いのだろうか?」と思っていたとしても、「じゃあ今日からスマホはやめよう」という選択は難しいと感じながら毎日使用を続けている方も多いのではないでしょうか?
スマホは私たちの興味や集中力を喰らうモンスターです。
うっかり身を任せると、スマホのことばかりを考えるようになり、他のことへの興味や関心が低下し、集中力が低下し、気づけばスマホ中心の生活になってしまうおそれがあります。
脳が未完成であり、感情のコントロールが未熟な子どもではよりリスクが高くなります。
私たち大人には、子どもをこの強大なモンスターの支配から守る責任があるのです。
しかし、このモンスターは付き合い方次第では「敵」ではなくなります。
上手に共存して「味方」にしてしまえば、これほど心強いものはありません。
生活がより便利で快適になったり、効率的に知識を得る助けとなったり、社会で活躍するきっかけとなる場合もあります。
現代社会において、大人になるまで子どもにスマホに一切触れさせないことは現実的ではありません。
もし仮にそれが可能であったとしても、周りの子が皆スマホを使っている中で1人だけ使えないという状況は、それによって失われる子どもの利益も決して無視できません。
大切なのは付き合い方
そこで、親子ともに「スマホによってもたらされる恩恵と危険性」を理解した上で適切にスマホを使用することが重要です。
しかし、現在の子育て世代の幼少期にはスマホは存在しませんでした。
つまり、「幼いころからスマホが身近にある」という自身は経験したことがない状況下で手探りでそれを行う必要があります。
そのためには、まずは大人がスマホの特性や依存についての正しい知識を身につけることが必要です。
少し、難しい話に聞こえてしまったかもしれません。
しかし、本質的な考え方としては「自転車」などと大きく変わらないと私は考えています。
自転車も上手に乗らないと転んでけがをします。
交通ルールを守り、危険を予測する術を身につけないと事故に遭うかもしれません。
反対に事故の加害者になるかもしれません。快適すぎて歩くのを避ける習慣がついてしまうかもしれません。
しかも、自転車に乗るために運転免許は必要ありませんし、年齢制限もありません。
多くの場合、親が決めたタイミングで自転車を購入し、上手に乗れるようになるまでいっしょに練習し、乗れるようになってもしばらくは近くで見守り、その後で交通ルールやマナー、危険を予測する術を伝えた上で、ようやくひとりで自転車で出かけられるようになります。
「けがをしたり事故にあったら大変だから高校卒業まで自転車は乗せない」「自転車の便利さに頼っていたら運動不足になるから週1回以上は禁止」のような方針をとることもそれぞれの家庭の自由ではありますが、いろいろ不都合なことが起こりそうです。
スマホも同様で、使用するための資格や年齢制限はありませんし、使い方によっては危険も伴います。他人を傷つける凶器にもなり得ます。
一方で、より便利で快適な生活を送ったり、新しい学び方が可能となったり、従来とは異なる形で社会で活躍できるかもしれません。
だからこそ、重要なのは「付き合い方」なのです。
「スマホの子どもたちへの影響」の話題になると、どうしてもその危険性や悪影響が強調されることが多く、「子どものスマホ使用は制限あるいは禁止すべき」という結論になりがちです。
しかし、前述の通り現代社会において単に「子どもたちのスマホの使用を禁止する」「子どもたちからスマホをなるべく遠ざける」という方針は現実的ではありません。
「インターネットやスマホは身近に存在するもの」であることを前提とし、その上で悪い影響やリスクを最小限にし、最大限活用する術を子どもたちに身につけてもらう方が現実的であり生産的であると私は考えます。
本ブログでも、一貫してそのような立場から論を展開することを最初に強調させていただきます。