何歳からスマホはOK?年齢別スマホルールのつくり方とは?

スマホは2歳になってから

0歳~1歳の間に子どもの脳は劇的に成長・発達します。

泣くことでしか意思や感情を表現できなかった赤ちゃんが、視線が合うようになり、にこにこ微笑むようになり、少しずつコミュニケーションができるようになり、言葉を話せるようになります。

わずか1年~1年半の間に、ことばを話せるようになり、歩くことができるようになり、身長が1.5倍、体重が3倍になる変化は「劇的」と言わざるを得ません。

この間、子どもの脳もさまざまな刺激を受けながら大きく成長します。

そして、当然スマホによって受ける影響も大きくなります。

結論から申し上げると、0~1歳の子どもにスマホをみせることはおすすめしません。

なぜなら、スマホをみている時間の分だけ、子どもの成長・発達に必要な時間や機会が失われるからです。

0~1歳に限った話ではありませんが、子どもの成長には現実世界でのコミュニケーションが不可欠です。

例えば、自分の行動に対して反応してもらうことによって意思疎通できることを学びます。

たくさん話しかけてもらい、真似をすることによってことばを覚えます。

幼いときに話しかけられた経験が多いほど、使える単語である語彙力が高くなることがわかっています。

さらに、語彙力が高い子はその後学力も高くなることもわかっています。

そして、残念ながら「DVD教材」など、映像機器の中からの言語では同様の効果が得られないということがわかっています。

また、0~1歳の間に「だっこ」などのスキンシップを多く受けた子では幸せホルモンの受容体が多くなり、自己肯定感が高くなる傾向が高くなることもわかっています。

「わずかでもスマホやテレビをみると成長・発達に悪影響を及ぼす」という意味ではありませんが、スマホやテレビをみている時間の分だけコミュニケーションやスキンシップの機会が減ることは間違いありません。

睡眠時間の長い0~1歳の子どもにとっては、たとえ同じ時間であっても大人や大きい子に比べてその価値は相対的に大きくなります。

また、歴史の浅いスマホについては、今後もっと大きな影響が明らかになってくる可能性も十分あります。

以上の理由から、「0~1歳の子どもにスマホやテレビをみせる時間は可能な限り少ない方が良い」と考えます。

ちなみに、アメリカ小児科学会、日本小児科医会の提言でも2歳未満の子どもにはテレビを見せるべきでないとされています。

どうしても泣き止んでほしいときやおとなしくしてほしいときの「スマホの力」は絶大すぎるため、頼りたくなる気持ちは非常によくわかりますが。

年齢別 スマホルールのつくり方

2~6歳(未就学児)の特徴、ルールづくりの注意点

2~6歳の幼児期もひきつづき脳が大きく成長する時期です。

特に2歳以降では、少しずつ理性的な行動が可能となってきます。

例えばイヤイヤ期ともよばれる2歳前後では、自分の思い通りにことがすすまないと感情をコントロールできずにすぐにかんしゃくを起こしてしまいますが、理性を司る前頭前野の発達に伴い、順番を待ったり、お約束を守ったりといったように、欲求をがまんしたり、感情や行動のコントールができるようになってきます。

また、1歳までと異なり動画やテレビなど映像コンテンツから知識を得ることが少しずつできるようになります。

このくらいの時期から、「上手にテレビやスマホと付き合い、活用する」ことが重要となります。

しかしその一方で、まだまだ自分の意思だけでスマホの使用をコントロールできるようになるには時間がかかります。

この時期はまだ家庭が生活の中心であることもあり、親がスマホのルールを決めて伝えることをおすすめします。

例えば、「スマホで動画をみていいのは夕方5時から6時までの1時間だけ」のように、小学生以上と比べてより具体的で明確なルール設定が必要です。

映像コンテンツから学べるようになるとはいえ、テレビやスマホ、PCなどスクリーンをみる時間は1日合計で2時間未満、可能であれば1時間未満がおすすめです。

「イヤイヤ期」

2歳前後に「イヤイヤ期」とよばれる時期があります。

この時期はまさに前頭前野が著しく発達する最初の時期なのです。

生まれてからある程度成長すると「自我」が芽生え、「あれをしたい」「これがほしい」「自分でしたい」などさまざまな「衝動」や「欲求」が強くなります。

しかし、「理性」を司る前頭前野が未発達であり、感情や行動をコントロールできずにかんしゃくを起こしてしまうのです。

たしかに大人からみると何でも「いやいや」と拒絶しているようにみえますが、実際には「衝動」と「欲望」があふれており、また「自分ルール」が多くなっている時期なので、意味的には「したいしたい期」「自分ルール期」などの方が意味的に合っていると個人的には思っています。

前頭前野の発達がある程度すすんでくると、「がまん」ができるようになってきます。

余談ですが、「自制心」あるいは「自己コントロール力」の高い子は将来社会で成功したり、年収が高くなる傾向にあるといわれています。

ちなみに前頭前野を鍛える上で、「おままごと」や「ごっこ遊び」が有効であることがわかっています。

これは、おままごとたごっこ遊びでは、自分たちでルールを決めそれを自分たちで守ることを実践できるからであると思われます。

もちろん「お約束を守る」自体も効果的な方法です。

③ 6~12歳(小学生)の特徴、ルールづくりの注意点

6歳頃になると理性的な行動がかなりできるようになります。

また、小学生になると生活環境も大きく変わります。

自宅以外で過ごす時間も長くなり、家庭中心の生活から、家庭以外の比重がじょじょに大きくなってきます。

人間関係もより複雑になり、小学校という幼稚園や保育園とは異なる集団生活に適応するため、これまで以上に感情や行動のコントロールが求められる場面が多くなります。

スマホのルールも学年や子どもの発達に合わせて、子ども自身が決められるよう幅をもたせてあげることをおすすめします。

例えば、これまでの「スマホの動画をみていいのは夕方5時から6時までの1時間だけ」のような具体的で明確なルールではなく、「スマホとテレビとゲームを合わせて1日2時間以内」や「宿題などその日にすべきことを全て終えてからスマホを使う」など、子ども自身が枠の中で工夫できるようなルールなどです。

また、前述の通り、子ども自身が「ルールを考え、決め、守る」ために、ルールの原案を考えてもらい、修正のアドバイスを行いながら子ども自身に決めてもらう方法がおすすめです。

もう1点、6~12歳という小学校6年間で一区切りとしましたが、当然ながら低学年と高学年では異なる対応が必要です。

個人差はありますが小学生の後半になると思春期が始まります。

男の子では12歳前後、女の子では10歳前後、早い子だと8歳頃から始まる子もいます。

思春期では二次性徴とよばれるからだの変化だけでなく、こころも急激に成長します。

思春期は「独立した一人の人間」として大きく成長する時期であり、これまで以上に親からの干渉を嫌がるようになります。

そしていわゆる「反抗期」に突入します。

④ 12~18歳(中高生)の特徴、ルールづくりの注意点

中学生から高校生では自分用のスマホを持ち、常に持ち歩く場合が多くなります。

そして、前述の通り小学生の後半から思春期に入ることが多く、思春期、反抗期の状態で中学生へ突入します。

中学生になると、生活の中心は自宅以外となり、さらに自宅以外で過ごす時間が長くなります。
学校だけなく、放課後に部活や塾へ行ったり、友達や恋人と過ごしたりと、物理的にも精神的にも生活の中心は家庭以外のコミュニティが中心となります。

学習や余暇の過ごし方も基本的に自分で決めることが多く、親が直接関わることができる機会はこれまでと比べて激減します。

そして、思春期においては声かけや関わり方のより一層の注意が必要となります。

思春期、反抗期において特に重要なのは、これまでに以上に「独立した一人の人間」として接し、「考えや意思を尊重する」ことです。

この時期に一方的にルールを設定したり、同意なく介入してしまうと、信頼関係が失われ、何か問題が発生したときに適切な対応をとりにくくなってしまうおそれがあります。

「独立した一人の人間」として接し、「考えや意思を尊重する」という大人同士では当たり前に行っていることを徹底する姿勢をみせることで、誰もが通る思春期、反抗期の時期でも良好な親子関係を築きやすくなります。

もちろん、そうはいってもまだ「大人になるための準備期間」であり、世の中のさまざまなことを学んでいる最中です。

成人するまでは、「子どもと保護者」の関係ではあり、世の中のさまざまな危険から守ったり、活動によっては許可を与えたり、制限する必要がある場面もあります。

すなわち、「保護する者と保護される者」という関係と「1人の人間同士」という対等な関係を両立させる接し方が必要となるのです。

ルールのつくり方としては、これまで以上に子どもが主体となって決める必要があり、具体的なルールを伝えるのではなく、「〇〇を心配している」「適切に〇〇をできるようなルールを決めてほしい」のように気持ちや希望を伝える方法がおすすめです。

いっしょに過ごす時間や会話の頻度は減ってしまいますが、だからこそ「自分は絶対的な味方である」というメッセージを接し方や行動など非言語的手段で伝えてあげることが重要であると考えます。