スマホ依存とは?
スマホ(スマートフォン)も使用が過度になると「依存」とよばれる状態に陥ってしまうおそれがあります。
「依存」とは、ひとことでいうと「特定のものや行動を、自分の意思でコントロールできない状態」のことです。
「これ以上しない方がいい」「いまはすべきでない」と頭では理解していても、自分の意思では止めることができず、特定の物質の摂取や行動をくりかえしてしまいます。
例えば、日常生活や健康などに悪い影響がでているにも関わらず、原因となっている物質や行動をやめることができなくなっていれば「依存」である可能性が高くなります。
「依存」といえば、「アルコール依存」や「薬物依存」、「ギャンブル依存」などが有名ですが、「スマホ依存」も同じようなメカニズムで陥り、同じような症状が現れます。
一般的に「依存症」と呼ばれているものは、大きく「物質依存」と「行動嗜癖(しへき)」の2つに分けられます。
文字通り「物質依存」は特定の物質を摂取することに対する依存、「行動嗜癖」は特定の行動に対する依存です。
例えば、アルコール依存ではお酒を飲むことによる快感をくりかえし求め、薬物依存では薬物を摂取することによる快感を得ようとします。
これが「物質依存」です。
一方で、ギャンブル依存などでは、直接からだの中に特定の物質が入るわけではありません。
また、馬やボートが走っている姿をみるだけで快感を得ているわけでもありません。
(「ギャンブルをしたい」という「衝動」「欲求」が生まれるきっかけにはなります)
「賭けに勝ってお金を得る」ことや「お金をかける」こと自体に対して「快感」や「興奮」を感じ、ギャンブルがやめられなくなってしまいます。
これが「行動嗜癖」です。
スマホ依存は他の依存よりも複雑
このように考えると、「スマホ依存」はスマホという物体そのものではなく、スマホを使用することによって得られる快感に依存するため、「行動嗜癖」に分類されます。
しかし、スマホはその特性から、他の依存と比べても話がより複雑となります。
その特性とは、「スマホは1台でさまざまな活動ができる」ことです。
例えば、家族や友達と電話したりメールすることができます。
写真や動画をとることができます。
音楽を聴くことができます。
ゲームをすることができます。
動画視聴ができます。
SNSで友達とつながることができます。
その上、常に身につけてどこへでも持ち歩くことができます。
一昔前であれば、同じ活動を行うためには「電話機とカメラとビデオカメラとパソコンとポータブルプレイヤーとゲーム機を常に持ち歩く」必要があり、それでもまだ全然足りません。
他にもスマホによって可能となる活動はまだまだあり、さらに今後メタバースなど新しい技術の発達に伴う可能性も無限大です。
しかし、それは同時に「依存の原因となりうるコンテンツも無限大」ということです。
つまり、「スマホ依存」は、「ゲーム依存」「ネット依存」「SNS依存」などさまざま依存を内包しており、また同時にその複数が存在している可能性があるのです。
例えば、1日中スマホゲームがやめられず、体調に不調を来している場合は、「スマホ依存」もであり、「ゲーム依存」でもあります。
あるいは、スマホゲームや動画視聴やSNSを交互をして結果的に四六時中スマホを手放せなっている場合は、「スマホ依存」であり「ゲーム依存」であり「SNS依存」であり「インターネット依存」でもあります。
ところで、「スマホ依存」「ネット依存」ということばは一般的になりつつありますが、実は2022年現在、これらは公式には病気としては認められていません。
概念が近いものでは唯一ゲームに対する依存が「ゲーム障害」という名称で世界保健機関(WHO)発行のICD-11(国際疾病分類第11版、2019年承認)に追加されました。
したがって、現時点で「スマホ依存」は明確な定義があるわけではなく、診断や治療についても統一されたものがないというのが現状です。
「病気」として扱うべきかどうかも含めてさまざまな意見があります。
なお、本ブログにおいては以上をふまえた上で、便宜上「スマホの使用に関連する依存状態」を「スマホ依存」という名称で統一させていただきます。