なぜスマホは依存に陥りやすいのか?
スマホは依存に陥るリスクが高いツールといえます。
なぜならば前述の通り、非常に身近で容易に快感を得ることができるからです。
1台あれば、いつでもどこでもさまざまな活動が可能となります。
しかし、スマホが依存に陥りやすい重要な要素がもう1つあります。
それは「他人と容易につながることができる」ことです。
通話やlineなどのメッセンジャーアプリを使えば直接会わなくてもすぐに連絡がとれる他、twitterやinstagramなどに代表されるSNSを使えば友達の様子を知ったり、「いいね」をもらえたり、見ず知らずの人と感情を共有したりでます。
人間は他者とつながることで快感や幸福感を得られ、他者との関わりを求める動物です。
「承認欲求」に代表されるように、人間は他者から褒められたり、認められたり、感謝されることで幸福を感じます。
「大人になってからの幸福度は友人の数に比例する」という報告もあります。
また、組織やグループに属し、その一員であると実感すると安心感を得られ、反対に孤立や孤独を恐れる傾向にあります。
私たちの祖先の時代から、人間にとって「群れや組織の一員である」ことは食べ物を得ることや子孫を残すことと同じくらい生きる上で重要な事項なのです。
人間は1人では生きていけません。
狩猟をしながら群れで助け合って生活していた時代、仲間から孤立したり、嫌われたりすることは命の危機に直結します。
狩りのときに協力してもらえなかったり、ピンチのときに助けてもらえなかったり、獲物を横取りされたり、獲物がとれなかった日に食料を分けてもらえなかったり、動物が近づいてきたときに危険を教えてもらえなかったり、場合によっては仲間に殺されてしまったり、などいずれも深刻な事態となります。
その記憶が遺伝子レベルで受け継がれているためかはわかりませんが、現代人も「他者から嫌われること」「孤立すること」に不安や恐怖を感じます。
そのため、他者がどのようなことを考え、どのような気持ちであるかは気になってしかたない情報なのです。
それらは従来であれば、実際に会って会話の内容や話し方や声色、表情や仕草などから推測するものであり、またそれがコミュニケーションと表現されてきました。
ところがあるツールを使用すると、その極めて重要な「考えや気持ちについての情報」を得ることができるのです。
そのツールこそがSNSです。
次の記事で改めて紹介しますが、SNSは友人を含めた他者の行動や感情、考え方を知ることができます。
もちろん、SNSも多くの場合他者に読まれることを想定して投稿されるので、「生」の気持ちや思考ではありませんが、相手がいるコミュニケーションと比べて装飾が少なくなる傾向があります。
「いつでもどこでも気軽に他者とつながることができ、相手の行動や気持ちを知ることができる」
そのようなことが可能となるスマホは、人間の興味や関心をひくには十分すぎるほど魅力的なのです。