依存に陥りやすいスマホコンテンツとは?

依存に陥りやすいコンテンツは?

スマホは1台でさまざまな活動が可能です。

そしてそれぞれのコンテンツはいずれも魅力的で人間の興味や関心をひきつける工夫がされています。

つまりは、いずれのコンテンツもそれぞれ依存に陥るリスクがあるということです。

今回が、特に依存に陥りやすいコンテンツやその特色を紹介します。

① SNS

特に依存の原因となりやすいコンテンツの1つがインスタグラム、ツイッターなどに代表されるSNS(ソーシャルネットワークサービス)です。

体感的にもSNSに熱中している人が多いことに疑いはないと思います。

一体何がそこまで人間をひきつけるのでしょうか?

最も大きな要因は「いつでもどこでも気軽に他者とつながることができ、相手の行動や気持ちを垣間見ることができる」ことですが、もう少し掘り下げます。

まず1つめの要素が「他人の行動を知ることができる」ことです。

SNSを使えば、友人はもちろん、実際に会ったことがない世界中の人ともつながることができます。

遠く離れた国で生きる人が、普段何をして過ごし、何を食べ、どこへ出かけるかなど、従来はホームステイでもしない限り一生知ることができなかったリアルな情報も得られます。

また、SNSの種類や設定にもよりますが、自分の知り合いにどのような友人がおり、どのような生活や行動をしているかを知ることができます。

しばらく会えていない友人の近況を知ったり、新しいチャレンジに成功したり、子どもが生まれたりといった喜ばしい出来事があったことを知ることができるなど、これまではできなかったコミュニケーションが可能となります。

従来であればもしかしたら一生会ったり関わる機会がないような友人とのつながりを保つことができるのです。

その反面、友人や気になっている相手がどこで何をしているか気になって仕方なくなるおそれもあります。

自分がしてないような経験をしていたり、きらきらした日常を送っていたり、たくさん友人がいることを知ると、嫉妬心があふれたり、自分と比較して暗い気持ちになってしまったりすることもあるかもしれません。

そして、「また更新されているかも」とSNSのことばかりが気になってしまい、チェックの頻度がどんどん多くなり依存に陥る場合があります。

2つめの理由が「他人の気持ちを知ることができる」ことです。

社会という群れの中で生きている人間にとって、他人の気持ちや感情は最も知りたい最重要な情報の1つです。

私たちは、他者が何を考え、何に対してどのような感情になっているかが気になってしかたないのです。

しかし、社会においては家族やよほど親密な仲でない限り、沸き上がった感情をそのまま表現することは通常ありません。

なぜなら、それは社会の中で良好な人間関係を築き、ものごとを円滑にすすめるための障害となりうるからです。

私たちは生の感情を「理性」という硬い殻で包み込んで日々生活しているのです。

(殻がもろいためか、生の感情が漏れ出やすい人は一定数いらっしゃいますが)

だからこそ、他人の感情が気になってしかたなく、会話の内容や話し方や声色、表情や仕草などから懸命に推測するのです。

その点、SNSではその匿名性などによって程度の差はありますが、現実世界の他人の目がないため、生に近い感情を知ることができます。

特定の出来事やニュースに対するその人の喜びや怒りを感じることができ、仮に見ず知らずの匿名の人であっても感情を共有することができます。
そのようなツールが気にならないはずがありません。

3つめが「情報を発信できる」ことです。

SNSは、他の人の投稿をみるだけでなく、自分自身も情報を発信することができます。

自分が何に興味があり、何をして、何を感じ考えたかなどを簡単に発信できます。

実際に会って話さなくても、いつでもどこでも自分を表現できます。

この点が非常に重要なのです。

私たちは自分のことを話すとき、快感を感じます。

しかし、現実世界では常に思った通りに自分を表現できるわけではありません。

話を聞いてくれる相手や自分を表現する場が必要です。

また、それらがそろった場合でも、「自分のことを何でも一方的に話してもいい」という状況はなかなか起こりません。

相手によって話す内容を変えたり、相手の反応をみながら話す内容を微調整したり、相手の話にも耳を傾け、その内容に反応したりすることでコミュニケーションが成立します。

(どのような状況やどのような相手でも、気にせず自分の話ばかりをする人も中にはいらっしゃいますが。)

その点、SNSでは自分の好きなときに、好きな内容を投稿することができます。

3つめとも関連しますが、4つめが「承認欲求を満たしてくれる」ことです。

「誰かに認められたい」「誰かにほめられたい」という「承認欲求」はほとんどの人がもつ欲求です。

現実世界では、困っている人を助けたり、仕事や勉強などで結果を出せば感謝されたり、ほめてもらえます。

しかし、そのような状況はそう簡単には訪れません。

ところが、いつでもどこでも簡単にそのような状況を手に入れる方法があります。

それがSNSです。

SNSは投稿することにより、「いいね」がもらえたり、コメントをもらえたり、リツイートしてもらえたり、フォロワーが増えたりします。

その結果、「認めてもらえた」と快感を感じて、承認欲求が満たされます。

その結果、「ちゃんと『いいね』がもらえているか?」「コメントは増えていないか?」「あの人はリアクションしてくれているか?」「逆に否定的な反応はないか?」などが気になって仕方なくなります。

さらに厄介なのが、最も有名な依存の1つである「ギャンブル依存」と構造が似ている点もあるのです。

しょっちゅうSNSをチェックしていると、当然「いいね」や「コメント」の数が変わっていないこともあります。

変化がなくてがっかりしたり不安になったところで、時間をおいて再び確認したら新しい「いいね」や「コメント」が増えていたらどうでしょうか?

大きな快感を得て大量のドーパミンが放出されます。

人間は、毎回同じように報酬が手に入るよりも、報酬を手に入ったり入らなかったりする方が快感を得られるのです。

(サルを使った実験でも同様の結果がでています)

すなわち、「SNSでいいねをもらえたりもらえなかったりすることでスマホのチェックがやめられなくなる」現象は、ギャンブル依存と非常に構造が似ているのです。

容易に承認欲求を得ることができるSNSは非常に魅力的なツールです。

もともと依存に陥りやすく、さらに学校や部活など閉ざされたコミュニティで現実世界を生きている中高生はよりリスクが高く注意が必要です。