子どものスマホ依存を予防するために必要なことは?
それでは子どもをスマホ依存にさせないためにはどうすればいいのでしょうか?
重要なのは「頭の中をスマホでいっぱいにしない」ことです。
依存に陥ってしまう最大の要因は「容易に快感を得られるため、使用をくりかえてしまう」ことです。
くりかえし快感を得ることによる「報酬系の強化」を止めることができれば良いのですが、本来生きるために必要なものを得るためのしくみを妨げることは非常に困難です。
大好きなショートケーキを「これは本当はおいしくない食べ物だ」と自分に言い聞かせても、脳は納得してくれません。
そこで、実践可能な範囲で重要なのは、「スマホと上手に付き合う」こと、すなわち「スマホと適切な距離を保ち、適切に使用する」ことです。
そして、そのためは「スマホ使用のルールを決める」ことと「スマホ以外に熱中できる活動をみつける」ことが有効です。
① 「スマホと上手に付き合う」
スマホの使用をゼロにすることは現代社会においては難しいです。
そして、非常に魅力的なツールであるスマホを使用すれば「報酬系の強化」は避けられません。
この時点でスマホに対する我々人間の完全勝利は厳しいといえます。
しかし、「依存」状態となり自分で使用をコントロールできなくなることは避けなければなりません。
そして、そのためには「スマホと適切な距離を保つ」すなわち「依存に陥らないように使う」ことが必要です。
しかし、子どもにとってそれ自体が容易なことではありません。
前述の通り、子どもは前頭前野が未発達であり、自らの意思のみでスマホの誘惑に抗うことは「自制心」や「自己コントロール力」が比較的高い子であっても難しいです。
空腹状態でケーキに囲まれた部屋に1人で入り、1口も食べずに長時間過ごすようなものです。
そこで、子どもの場合は、「スマホ使用のルール」をあらかじめ設定することが特に重要です。
あらかじめルールを決めておくことで習慣化されれば、毎回欲望と戦う必要がなくなり、使用時間や使用頻度を減らす効果が期待できます。
「一日中おかしを食べない」ことは難しくても、「歯みがきしたあとにはおかしを食べない」「夕食前にはおかしを食べない」ようにルールを設定すれば、おかしの食べ過ぎを防ぐことが可能です。
しかし、ルールの内容や決め方によっては効果がないどころか、逆効果となってしまう場合があるので注意が必要です。
② スマホ以外に熱中できる活動をみつける
2つめの方法は「スマホ以外に熱中できる活動をみつける」ことです。
子どものスマホ依存対策では、こちらの方が高い効果が期待でき、ぜひおすすめしたい方法です。
なぜならば、「子どもは熱中する能力が高い」からです。
子どもは前頭前野が未発達であり、「衝動」や「欲求」を抑える力は十分ではありませんが、その一方でドーパミンの分泌や活動は大人よりも活発です。
すなわち、「新しいことに対する好奇心が強く、興味をもてばすぐに取り組み、熱中しやすい」ということです。
ということは、スマホに対する関心や熱中を他の活動に向けることができれば、必然的にスマホへの依存リスクが下がります。
「子どもがもつ無尽蔵のエネルギーや可能性をスマホ以外にぶつける」という合理的な正攻法であり、最もおすすめの方法です。
しかし、ここでも子どもへの声かけの仕方が重要です。
年齢や性格にもよりますが、「スマホなんかより〇〇の方が楽しいよ」「だまされたと思って□□をしてみなさい」のように声をかけても、反発するか熱中することなく終わる可能性が高いです。
「自分で興味をもったり、楽しいと感じて自分の意思で続けていること」でなければスマホの存在を忘れるほどの熱中は期待できません。
そこで、「子ども自身が興味をもったことをさせてあげる」、あるいは「『きっかけ』をつくり、楽しんで取り組んでいたこと、熱中して取り組んだことを続けさせてあげる」ことがおすすめです。
例えば、ドラムの動画を熱心に見ていたら「1回だけドラム教室の体験いってみる?」と声をかけたり、魚に興味をもっている様子だったら「今日水族館に行こうよ」などです。
あるいは、大人が想定してなかった意外なことから刺激を受けて興味をもつこともめずらしくないため、自然の中でも遊園地でもとりあえず出かけて子どもの思うままに行動させてあげることもおすすめの方法です。
「熱中できることを発見するきっかけをつくり、熱中できる環境を整える」ことは幼児期から思春期まで共通する、子どもの能力を伸ばす上で効果的な親の関わり方です。
以下に「スマホ以外おすすめの活動」を紹介します。
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