Q、胃、十二指腸はどのような臓器ですか?どのような役割がありますか?
胃、十二指腸ってどのような臓器?
食べものや飲みものが食道を通ったあと入る消化管が胃でその次が十二指腸です。
つまり「口→食道→胃→十二指腸」の順に通過します。
厳密には十二指腸は小腸の一部ですが、胃と十二指腸はセットで考えるほうがわかりやすいので、いっしょに解説します。
胃の役割は?
胃、十二指腸の最大の役割は「消化」です。
食道を通ってきた食べものや飲みものを最初に消化するのが胃とそれにつづく十二指腸です。
まず、胃は胃液という消化液をつくり、分泌します。
私たちが食べたものは食道を通り、次に胃に入ります。
そこで食べたものが胃液と混ざります。
胃液は主にタンパク質の消化に関わります。
胃液にふくまれるペプシンという消化酵素のはたらきで、タンパク質が分解されます。
またタンパク質以外の消化にも関わっています。
胃液には塩酸という強い酸性の液体をふくんでいます。
酸性の液体はものを溶かす力が強いため、胃に入った食べものの消化を助けてくれます。
食べたものは胃の中で「おかゆ」に近いぐちゃぐちゃの状態まで消化されます。
さらに、消化以外の面でも胃には大きな役割があります。
それは「殺菌」です。
胃液にふくまれる塩酸は強い酸性を示すので、食べものといっしょに入ってきた細菌やウィルスをやっつけることができます。
細菌やウィルスは、かぜや他の病気の原因となるため、これらからからだを守ってくれるのです。
十二指腸の役割は?
十二指腸も消化に大きく関わっていますが、実は十二指腸自体は消化液などを分泌していません。
かわりに、すい臓でつくられたすい液や、肝臓でつくられた胆汁酸がくだを通って十二指腸で合流します。
すい液にはトリプシンやアミラーゼ、リパーゼなどさまざまな消化酵素をふくみ、それぞれタンパク質、糖質、脂質の消化に関わります。
胆汁酸には消化酵素はふくまれませんが脂質の消化に関わります。
胆汁酸は肝臓でつくられたあと、胆のうという袋にためられ、胆管というくだを通って十二指腸で合流します。
また、十二指腸にはもう1つ大切な役割があります。
それは「胃液にふくまれる塩酸を中和する」ことです。
胃液は消化において大切な役割を担っていますが、強い酸性を示すためいつまでもからだの中にあると他の臓器を傷つけてしまいます。
そこで酸性の液体である塩酸を中和するのです。
酸性の液体とアルカリ性の液体が混ざり合うと中和が起こり、おたがいの性質を打ち消し合います。
すい臓でつくられるすい液には大量のアルカリ性の液体をふくんでいるため、すい液が合流する十二指腸で中和が起こるのです。
それにより十二指腸から先の臓器が強い酸にさらされることを防いでいるのです。
なぜ胃や十二指腸は自分自身を消化しない?
ところで胃や十二指腸自身は強い酸性である胃液にふれていても大丈夫なのでしょうか?
結論からいうと大丈夫です。
なぜなら自分自身を胃液から守るしくみをもっているからです。
胃や十二指腸の表面には「粘液」という液体でおおわれています。
「粘液」はアルカリ性の液体なので部分的に胃酸を中和することができ、また直接消化酵素に触れずにすむのです。
このしくみのおかげで、胃や十二指腸は自分自身を守っています。
以上が胃、十二指腸の役割です。
まとめ
・胃や十二指腸は主に「消化」の役割を担う!
・胃や十二指腸の表面は粘液でおおわれており、自分自身が消化されないようになっている!
胃の役割
・胃液にふくまれる消化酵素や胃酸のはたらきでタンパク質を分解したり、食べたものをぐちゃぐちゃにする。
・胃液にふくまれる胃酸のはたらきで殺菌する。
十二指腸の役割
・すい臓でつくられたすい液や肝臓でつくられた胆汁酸が合流する。
・すい液は糖質、タンパク質、脂質全ての消化に関わり、胆汁酸は脂質の消化に関わる。
・すい液にふくまれるアルカリによって胃液の酸性を中和する。